平成30年福岡大学理学部市民講演会講演内容
1)講演者:理学部 応用数学科 教授 藤木 淳
テーマ: 「数学パズルを楽しもう」
数学はあまり好きでない人でも、パズルを出されるとつい考えてしまう人は多いのではないでしょうか。パズルにも色々ありますが、解くために数学が役に立つパズルもあります。例えば「2人のプレイヤーが交互に数を1,2,3,と数えていき,21を言ったら負け。ただし1回に3つまで数えて良い。」というゲームや「碁石の山を2つ作り、2人のプレイヤーが交互に石をとっていき最後の石をとったら勝ち。ただし石のとりかたは、1つの山から好きなだけとるか、2つの山から同じ数ずつとるかのいずれかである。」というゲームについて、先手または後手が必ず勝つような必勝法があるか、それとも必ず引き分けに持ち込むことができるか、というパズルを解くためには数学が役に立ちます。このような数学が役にたつパズルを紹介したいと思います(ここで紹介した2つのゲームを試しにやってみておいてくださるとうれしいです)。
2)講演者:理学部 化学科 教授 倉岡 功
テーマ:「DNAは傷つく、しかし癒される。-環境と健康の化学-」
生物が生きていくために必要な情報は、DNAと呼ばれる物質の中に書き込まれています。DNAの情報がなければ、生物は生まれることも、生きることも、また死ぬこともできないからです。しかしながら、環境中には様々な反応が存在し、そのDNAを傷つけることが知られています。 生物は、どのようにその傷を治し、その傷を乗り越えてゆくのか。その仕組みを見て行きましょう。
3)講演者:理学部 地球圏科学科 教授 林 政彦
テーマ:「地球温暖化の中の南極観測 -第58次南極観測隊員の旅-」
人類の経済活動が巨大化する中で,二酸化炭素の排出量の増大などによる地球温暖化や気候変動による将来不安の増大に伴い,持続可能な発展を求める声が国際的に高まっています。同時に,温暖化の実態とその原因,影響については,活発な研究活動に基づいた検討が続けられています。日本の南極観測隊も60年以上にわたり南極地域の気候変動の解明に焦点を当てた研究活動を継続しています。
そんな中,私は20年ぶりに第58次南極地域観測隊に夏隊員として参加し,無人飛行機を用いた大気観測を行ってきました。同時に,観測隊が行う気象,海洋,生物,地学などの観測に協力してきました。温暖化の真っただ中にある現在の地球。その地球の南の果て「南極」の様子と彼の地で今まさにおこなわれている様々な観測。その現状と今後を,自然や観測の様子などの写真とともに紹介し,南極観測と地球の未来について考えていきたいと思います。